水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル

~本を読んだ人も読んでいない人も、水浸法の人もそうでない人も~

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』中外医学社より好評発売中。
本はマニュアル本ですので「なぜそうするか?」より「なにをするか?」の方に力点がおかれています。
このブログでは本を補完するため理論的な面を詳しく説明します。

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後藤先生
先日は突然のメールにも関わらずご回答頂き、誠にありがとうございました。
厚かましくも再度ご指導頂きたく、ご相談申し上げます。

1)テキスト110ページに、S頂部で短縮(屈曲部フックのプル法)がうまくいかないときは「しかたなくSDまで押して越えてライトターンでショートニング」とありますが、それなりにスコープが進むのに最終的にSD手前でスコープがスティック状になり、スタックしてしまうことがありました(これまでは何となくうまくいってました)。
この「しかたなくSDまで押す」時に、アングルはどのようにしたら良いでしょうか?一旦屈曲部フックのプル法で越えているのでアップアングルとなってますが、緩める程度やタイミングがわかりません。
あるいは、それ以前に注意すべきことがありますでしょうか(脱気、スコープにゼリー塗布は当然として)。

2)Rsがプッシュでないと越えられそうにない場合、すぐ仰臥位にして下腹部圧迫するとよい、と従来法(空気法)のベテラン医師からアドバイスをもらいました。
ワンパターンメソッドと異なりますが、水浸法で早期に仰臥位になってもらっても良いでしょうか。
技術がつたなく、経験が少ないためか、個人的にはあまり変わらない印象です(左手の時計は45°ずつずれますが)。
いつも長文ですいません。


1)のお答え
Sを通過中に目の前の屈曲にスコープ先端のアタッチメント部分がどうしても届かず、仕方なくプッシュして超えたらすぐにプルしてストレートに戻してまた続けることはしばしばありますが、仕方なくSDまで押すのは無いとは言いませんが、かなり例外的です。
ただ腸が長いだけでなくガチガチの癒着例が多いと思います。
スコープがストレートじゃないのにプッシュする時のコツは(本のどこかに書いてあると思いますが)
①プッシュ中はスコープを捻らず真っ直ぐに押すこと
②画面の管腔が回転しないこと

の2点です。
スコープを真っ直ぐ押しているのに画面が回転するのはスコープが捻れてループを作ることを意味するからです。
スコープが捻れなく一平面上にあれば短縮しやすく、捻れて立体的な輪を作ると複雑なループとなって短縮が困難になることがあります。
画面が周り始めたら平面から外れたサインなのでいったんプルして平面に戻して再度慎重にプッシュします。
もしαループを作りそうになっていたらプルする時にライトに回し、逆αならレフトに回すと平面化しやすいです。
「押す時真っ直ぐ、引く時回す」の原則です。

2)のお答え
Rsがコロンモデルより急な人はいますが、通過困難な例は余り経験しないのでここで仰臥位にしたことはなく、圧迫もしたことはありません。
Rsだと入ってすぐのところでせいぜいスコープはAVから30cm未満ですので半径10cmの最小ループ長が30cmと考えるとループは作っていないので用手圧迫する意味は少ないのかなと思います。
基本的に仰臥位にした方が重力の影響で腹腔内は小さくなり屈曲はきつくなりますし、用手圧迫も同じで不利になります。
用手圧迫するのはお腹が大きい人で巨大なループを作ってループでのプッシュさえ進まなくなったときにループの巨大化を防ぐためにするのはわかるのですが…
コロンモデルでは左手9時くらいでレフトアングルもほとんどかけなくても越えられますが、屈曲が強い人は左手6時でレフトアングルもフルアングルの急屈曲の人もいます。
でも急なだけで基本はコロンモデルと同じ操作です。
もし用手圧迫、仰臥位で越えても、ループ解除にはスコープが立てる空間が必要ですので圧迫を解除して側臥位に戻した方が有利です。
その後の操作もコロンモデルで身についたワンパターンメソッドに戻さないとやりにくいと思います。

ご質問いつでも大歓迎です。
もともと挿入技術は見て学ぶところもあり、それを言葉で表現するのは難しいので、一回で全部納得できないのは当たり前です。
何度も表現を変えてやっと理解できることもあります。
納得するまでどんどん質問し続けてください。

後藤先生
早速にご回答頂きありがとうございます。また心強いコメントありがとうございます!
あれこれテクニックを考えるまえに基本の芯をしっかりマスターすることが大事だと分かりました。
来月コロンモデルを借りられるので、繰り返しワンパターンメソッドを練習します。
本当にありがとうございました。


メールが送れないため、こちらからご相談させてください。
水浸法のテキストでは直腸~Sまでがとてもシンプルに書かれていますが、私にとっては一番悩ましい部位であります。
「直腸をぐるぐると回って越える」というのがなかなか実践できず、左→右→左とターンして越えています。多くの他の教本では「直腸の突き当たりで反転してRaの襞をUpで越える」という、コロンモデルではS頂部で行う動作が記述されていますが、ワンパターンメソッドではRa(直腸仙骨曲の急峻なカーブ)はどのように越えていけばよいのでしょうか?

コロンモデルとヒトは同じと強調されていますが、コロンモデル(指内視鏡)のワンパターンメソッド(p69)と部位別ワンパターンメソッド(p129)では特に直腸~SDの処理が異なるのはなぜでしょうか。特にS頂部の処理で、コロンモデルでは「S頂部は上に見えるのでUpアングルで越える」、部位別では「(左手?)9時あたりで左方向にS頂部がみえるのでLアングルで引く」となっているのはなぜでしょうか?
コロンモデルでは古典的プル法、部位別では早期短縮法を採用しているからでしょうか?

質問1.
直腸の挿入法を教えて下さい。

回答1.
質問の先生の入れ方:左→右→左とターンして越えています。
多くの他の教本:「直腸の突き当たりで反転してRaの襞をUpで越える」
水浸法:「直腸をぐるぐると回って越える」
コロンモデル(指内視鏡)のワンパターンメソッドには直腸は「左手を左に6時まで回すと先端は1周するのでその間に少し押して直腸を越える」(p.69)
部位別ワンパターンメソッドには②直腸「12時からレフトターンレフトアングルで⑦時半まで持ってくる」(p.129)とほぼ同じことが書かれています。
1枚目の扉(Rb)が下から出ていて、2枚目の扉(Ra)が上から出ているスキマをスコープがくぐる時、全く回転しないで上下アングルを使うか、90°倒してで左右アングルで越えるのが旧来のやり方でした。
私のやり方はアングルは動かさないで先端が360°の左ローテーションだけで2つのひだを越えます
先端が360°の左ローテーションは2倍進角の法則(p.42)より手元は180°の左ローテーションです。
言うと凄くシンプルなのですができないのにはわけがあります。
先端360°ローテーションができないからです。
そのためにベッド上でローテーション操作のトレーニング(p.47)をやって下さい。

質問2.
S頂部の処理で、コロンモデルでは「S頂部は上に見えるのでUpアングルで越える」、部位別では「(左手?)9時あたりで左方向にS頂部がみえるのでLアングルで引く」となっているのはなぜでしょうか?
コロンモデルでは古典的プル法、部位別では早期短縮法を採用しているからでしょうか?

回答2.
そのとおりです。
コロンモデルと指内視鏡ではS頂部は少し押して越えてから引き始めます(=コロンモデルでは古典的プル法)が、人でやるときはS頂部を意識せずS前半から引いて短縮します(=部位別では早期短縮法を採用)ので少し違います。
コロンモデルは空気モデルで早期短縮しようとしても元に戻ろうとする力がかかるのでしっかりS頂部を越えてからフックして引きます。
S後半で左手9時から10時半右ローテーションしていきます。
人で水浸法で早期短縮するとどこがS頂部かははっきしりない分、S前半から右ローテーションが始まりますが、結局左手10時半あたりでSDを越えます。

本を精読していただきありがとうございます。
直腸のこの挿入法は私のオリジナルで操作がシンプルですのでコロンモデルでやると秒で挿入できます。
人でもコロンモデルと同様に挿入できましたのでワンパターンメソッドに採用いたしました。
従来の方法と全く違うため最初はコロンモデルを使っての練習をおすすめします。
操作の原理の理解の助けになります。

後藤先生
早速のご返事ありがとうございます!
ベッド上でローテーション操作のトレーニング(p.47)を頑張ってみます!
巻末にあった「水浸法は家庭医や一般医、開業医にも最適」という先生のお言葉でまた大腸内視鏡を頑張ってみるつもりになりました。
ぜひとも水浸法をマスターしていきたいと思います。
ありがとうございました。

後藤先生
追加の解説ありがとうござます!
なるほどと納得いたしました!
水浸法は左手の位置でスコープ先端の角度が予想でき、どんな大腸にも同じアプローチで臨める優れた技法だと思います。何としてもマスターしたいと思います。
明日からまた頑張ってみます
本当にありがとうございました

もしかして✕✕先生は本など書かれているあの✕✕先生ですか?
後藤先生 御侍史
ご連絡ありがとうございます。
私はもとは消化器内科でしたが、人事異動で総合診療科に配属となり、その頃お恥ずかしながらいくつか本を書く機会を頂きました
(診断力や、救急・総合診療関係の本)。
今勤務している病院では大腸内視鏡の需要が多く、久しぶりに 現役復帰となり、一から勉強しなおしています。
私が昔教わった方法は「αループで入れてSFでフック、ループ解除」がメインで今とは隔世の感があります。
しかし、最近の指南書はどれもパターン分類が複雑で多岐にわたり、著者によっては正反対のことが書かれたりして途方にくれていました。
そんな時にたまたま先生の動画を視聴し、正に目から鱗が落ちる思いでした
今はテキストと動画でイメージトレーニング、コロンモデルで練習を重ね、消化器内科の同僚に立ち会ってもらいながら少しずつ実践しております。
まだ自分のなかでコロンモデルと人(水浸法)との橋渡しがうまくできておらず、いずれまたご相談させて頂くかもしれません。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

先生のコロンモデルの模範動画、1/4速度で繰り返し拝見しております
何度拝見しても新しい発見があり勉強になります。
これからも日々水浸法を勉強させていただきます。ありがとうございました。


水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル」中古本も高価になってしまいましたが、電子版もありますので購入希望者はそちらをご利用下さい。

また、質問があればいつでもどうぞ~

お世話になっております。
私は栃木県で開業しています。
後藤先生の内視鏡技術に感嘆しており、可能であれば一度見学させて頂けないかと思いご連絡致しました。
ご多忙の中大変恐縮ではありますが、見学の可否、可能であれば曜日による勤務先病院などご教授頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

無麻酔・無痛の水浸法実演の見学希望者(無料、医師限定)は私までメールして下さい。
日時:第2,第4木曜日 午後1時 〜3時
場所:東京都町田市原町田4-17-11
施設:原町田診療所(診療所裏に駐車場あり。NO.16~22利用可能)
5人の患者さんの水浸法による大腸内視鏡検査を行なっています。
(1割程度の麻酔希望者にはプロポフォール麻酔をしています)
ポリペクやEMR(平均2名程度)も同時に行います。\
日時:第1,第3,第5月曜日と毎週火曜日 午後0:30頃 〜
場所:〒243-0018神奈川県厚木市中町3丁目8−11
施設:仁厚会病院
数人の患者さんの水浸法による大腸内視鏡検査を行なっています。
(4割程度の麻酔希望者にはプロポフォール麻酔をしています)
ポリペクやEMRもあれば同時に行います。
(参照)『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアルp.183』

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